母のウェルビーイング | 福田洋介 | 今日どう?通信

ここ数年、自分の実家のことが気にかかるようになりました。立て続けに祖母と父が他界し、母だけの独り暮らしとなったのも理由のひとつです。

数年前から母は抑うつ状態を患っていたことも気がかりでした。物事を決断することや家の外に出ることができなくなってしまったこと、またそうした自身の状況を否定的に捉えてしまうところがありました。心療内科への通院に付き添う中で彼女が置かれていた環境に想いを巡らすと、気づくことがありました。

ALS(体を動かすのに必要な筋肉が徐々にやせていき、力が入らなくなる病気)を発症した夫(私の父)の看病のためいくつかの趣味の活動を諦めたこと。彼の入院を機に看護の手を離れたこと。隣組や町内会の役から外れたこと。二人の死後、家族のための家事が無くなったこと、など。

自分で求める求めないは別として、その時その時に感じていた自己有用感=誰かの役に立っている、という気持ちが彼女の支えだったのだと私は感じました。

近年私たちが取り組むテーマの一つとしている社会的処方という考えは、万人の生き方に通じる大切な考え方なのだな、と身を持って感じているところです。

この秋には父の三回忌が営まれます。母の状態も今は安定しており、まずはひと安心。何かと人の心に想いを馳せるこの時期に、私が思ったことを書かせていただきました。

文・NPO法人市民協働ネットワーク長岡 事務局 福田 洋介

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「今日どう?通信」はNPO法人市民協働ネットワーク長岡の事務局・理事その他関係者が、市民協働をテーマに日ごろ感じたこと、気づいたことをしたためるリレーエッセイ・コラムです。
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