私にとっての社会的処方箋 | 田中佳苗 | 今日どう?通信

らこって5月号の特集では、2つの地域を取材させていただきました。

実はどちらも私が大学の時にお世話になった地域。
特に下村集落は、大学を卒業した今でも交流が続いている地域です。
振り返ると、最初に下村を訪れてから12年。
こんなにも長く関わり続けられるコミュニティがあることに改めて感謝を感じました。

頻繁に通う場所ではないけど、久しぶりに行っても必ず「よく来たね」と迎え入れてくれる安心感が、ゆるやかに長く続けられている理由の一つです。

取材を通して印象的だったことが「大学生を受け入れることに面倒なこともなかった。集まる理由ができてお酒が飲めて嬉しかった。」と言われたことでした。

きっと、面倒なこともあったけど、いろんなことを含めて嬉しかったと伝えてくれたのだと思いますが、田舎暮らしを知らない大学生に田んぼや畑を用意して一緒に作ってくれたり、山菜採りを教えてくれたり、たくさんの経験をさせてもらいました。

私にとって下村は、職場でも、家庭でもない居場所の一つ。
なにかうまくいかないことがあっても、別の居場所に行けば息抜きになって少し心も軽くなる。
そんなふうに、自分が駆け込める居場所が複数あったことで、何度も救われてきました。

少し前を振り返ると、幼少期から続けていたボウリングも、家族でも学校でもない居場所の一つでした。
両親や先生に素直になれなかった思春期も、ボウリング場にいる親世代のおとなたちに将来の夢を話したこともあれば、悩みを話したこともありました。
そのたび「やってみたいことはやってみたらいい」という言葉に背中を押してもらい、「うまくいかないことは時間が解決してくれる」という励ましに救われていたなと、今でも思うことがあります。

私はこれまでの人生で、多くの人に活かされ・生きてきたなと感じることがあるのですが、それは下村やボウリングという肩書のない自分が居れる場所が、私にとっての社会的処方箋だったのだと、改めて感じた機会でした。

先日、らこって5月号を届けがてら、下村にお邪魔してきました。
採れたての山菜のてんぷらをたくさんいただいて、わいわい話しながらとても楽しいGWを過ごしました。

みなさんはどんなGWでしたか?
ぜひ教えてください◎

文・NPO法人市民協働ネットワーク長岡 事務局 田中佳苗 

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「今日どう?通信」はNPO法人市民協働ネットワーク長岡の事務局・理事その他関係者が、市民協働をテーマに日ごろ感じたこと、気づいたことをしたためるリレーエッセイ・コラムです。
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