
私は、1999年に初めて出産を経験し、「女性のいのちを生み出す力と赤ちゃんの生まれる力」に感動しました。それ以来、「助産師になりたい!」と思いましたが、それは来世の宿題にすることにし、せめて助々産師くらいにはなりたいと考え、そこから猛烈に勉強しました。おそらく、受験や卒論でもこれほど頑張らなかったのではないかと思うほど、授乳しながら学びました。何より、知りたかったのです。
イギリスやオーストラリアでは、出産準備教育が確立されており、助産師とは別に、いのちや出産、産後の生活について専門性を持ったバースエデュケーターが存在します。また、産後の養生生活や子育てのサポートを専門的に行うドゥーラもいます。そんな環境を知りながら、自分自身も4回の妊娠・出産を経験し、学びを深めました。知れば知るほど人に伝えたくなります。「いのちって、ものすごい奇跡の出会いと誕生なんだよ!」「女性の身体って、こんなにも妊娠・出産・産後に対応できる機能を持ち合わせているんだよ!」「赤ちゃんって、無力じゃないよ。お腹の中にいたときから、すごい力を持っていたんだよ!!」と。医療が進んだ日本では、その奇跡すら当たり前に感じてしまいます。知らなくても困らない知識かもしれませんが、知ることで自分や家族を大切に思えるのではないかと思います。自己肯定感も上がるでしょう。(上がってほしいです)ご先祖様に感謝し、周囲の人にも優しくなれそうです。
そんな熱い想いを持って、妊娠中の方々に「いのちのはなし」を聞いてもらい、産後の方々にもお伝えしてきました。(産む前に聞きたかったと言われることもありますが……)また、自分の子どもたちにも伝えてきました。そしてとうとう、「市内の全中学生に(義務教育が終わる前に)伝えたい!」という想いが生まれ、NPO法人多世代交流館になニーナで「次代の親育成事業」として、赤ちゃんとママ(またはパパ)とのふれあいをセットにした出張事業(長岡市の委託事業)を始めました。平成24年から開始し、今年度で14年目になりました。当時中学生としてこの事業を受けた女性が母親となり、赤ちゃんと一緒に母校で中学生と触れ合う姿を見たとき、この事業を継続できたことへの感謝と喜びを感じました。
いのちはつながっています。地球が生まれ、生命が誕生し、人間はいまだ進化の過程にあります。私たちは「現在・今」をどう生きていけばよいのでしょうか?答えは簡単には見つからないかもしれませんし、そもそも存在しないのかもしれません。ただ、「ひとりでは生きていけない」ということだけは明らかです。だからこそ、人と関わりながら「協働」し、よりよく生きて、時間を共にしたいと思います。
文・NPO法人市民協働ネットワーク長岡 理事 佐竹 直子
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「今日どう?通信」はNPO法人市民協働ネットワーク長岡の事務局・理事その他関係者が、市民協働をテーマに日ごろ感じたこと、気づいたことをしたためるリレーエッセイ・コラムです。
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