感染症や社会情勢の変化などもあり、心の健康に関するニュースも頻繁に聞かれる昨今です。
厚生労働省によると、日本人のおよそ30人に1人が心の病気で通院や入院をしており(平成29年)、生涯を通じて5人に1人が心の病にかかるのだとも言われています。
私自身ここ最近、心の健康を考えさせられるいくつかの状況に直面しています。
その一つに実母のうつ病発症があります。
私の実家では両親と祖母の三人が暮らしていましたが、一年前に父が難病に罹り長期入院、半年前に祖母が他界し、短期間のうちに母は一人暮らしになってしまいました。その間に気分が落ち込みがちになり、今では日常生活を送るので精一杯、人と会うような気力も無いという様子です。
私は2週間に1〜2度実家を訪れ、医者にかかる彼女に付き添うなどして経過を見守っています。
母は結婚以来、家族のために尽くして来ました。人付き合いも悪くはなく、いくつかのサークルに所属し、指導者的な立場を担うこともありました。
今回の状況は、そんな社会的な役割がちょうど途切れたタイミングでもあったのかなと感じます。
最近職場内で「社会的処方」というテーマがしばしば話題に挙がります。「社会的処方」とは「薬を処方することで、患者さんの問題を解決するのではなく『地域とのつながり』を処方することで、問題を解決するというもの(※)」を言うそうです。
今は薬に頼る母も、本当は趣味のサークル活動に参加したり、誰かから役目を頼まれたりするなどして、社会的なつながりをもつことが状況を好転させる近道なのだろうなと思います。
一方で彼女はまだそこに踏み出すだけのエネルギーが十分にありません。私としては、彼女にとってより良いタイミングでそのきっかけとなるアシストができれば良いなと想っています。
サークル活動や地域活動などのコミュニティに参加することが、心の健康を維持するためにも役立つのだという考えが、より多くの人に広がると嬉しいなと考えます。
※『社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法』(西智弘編著、2020年、学芸出版社)
文・NPO法人市民協働ネットワーク長岡 事務局 福田洋介
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「今日どう?通信」はNPO法人市民協働ネットワーク長岡の事務局・理事その他関係者が、市民協働をテーマに日ごろ感じたこと、気づいたことをしたためるリレーエッセイ・コラムです。
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