あれから20年 | 高木仁 | 今日どう?通信

今から20年前の平成16年7月に我々のNPO法人「住民安全ネットワークジャパン」を立ち上げました。丁度中越水害のあった日に県庁へ申請いたしました。

当時ガラケーの携帯電話が普及し始めドコモのi-modeメールサービスが普及し始めたばかりの頃でした。たまたまテレビを見ていたら、ろうあ者の友達が連絡を取るのにそのメールサービスを使ってやりとりをしている映像を見て「これだ!」と思い「これを使って地域の安全・安心情報を流せないかな?」と友達と相談し急ぎシステムを作る会社にお願いしてわれわれの配信システムが出来上がりました。

早速名刺に登録アドレスを印刷し知り合いに配り始め、とにかく登録者を増やさないと効果が出ないと、会合に行っても宴会に行っても知り合いに登録を頼み、コンパニオンにまで登録してくれるように頼みました。(笑)

そんなことをしているうち10月23日の「中越地震」に見舞われました。

幸い我が家は電気も水道も止まらずなんとか寝ることも出来たので事務所の後片付けをしたり雑然とした家の中の片付けをしたりしていました。

地震の翌日友人が訪ねてきて「高木さんが言っていたメールシステムで、お風呂に入れる場所や洗濯が出来る場所をメールで皆さんに送ってくれないか?」と言われ、「そうか、困っている人達が大勢いるのだな?」と気づき直ぐに担当者に連絡し一斉メールを送りました。

それからゴミ出しの場所とか、がれきの収集場所とか様々な要望が出てきてメール配信サービスの効果を評価して貰いました。

また、日本経済新聞の長岡支局長に我々の活動を説明に行き、記事にして貰いたいと相談に行ったら水害の時の活動が評価され9月の防災の日に新潟版のトップ記事になりました。その記事を東京のNHKの記者が見つけて取材させてほしいと連絡があり対応させてもらい「おはよう日本」の時間に全国放映されました。

また、当時学校の子供達が下校途中で不審者に声がけされたり、危険な目に会う事案が多発しており、学校と保護者との連絡網として利用できるのではないかと考え各学校に提案に行きました。

当時ドコモでも小学校に導入して貰いたく提案に行くのですが学校側では携帯電話を子供に持たせないという方針があり、何処の学校に行っても相手にされませんでした。ドコモからNPOを通じて学校に話を出して貰えないかと相談がありました。

そこで私の知り合いだった、新組小学校の校長先生に話を持っていき、新組地区の皆さんや、連合町内会長さん達との話し合いも進めて「子供連れ去り実験」を計画し、新潟県警にも知り合いがいたので相談に行って快諾をもらい実験にこぎ着けました。当時NHKテレビを始め民放のテレビ局も取材に来て話題になりました。

子供達の安全を確保する意味でも良い企画だったと思います。

その後、学校と父兄との連絡網として何校かの学校にこのシステムを利用して貰いましたが、時代の変化でSNSやLINEの普及で連絡通信手段が劇的に変化してきました。

地域の安全・安心の情報手段としてSNSやラインを使って市民が協力し合い街を明るく安全な街にしていくことが大切ですね。

どんどん激しく変わって行くデジタルの世界がこれからどのような社会変化をもたらすのか私には想像が出来ませんが、変化について行くしか有りませんね。

文・NPO法人市民協働ネットワーク長岡 理事 高木 仁

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「今日どう?通信」はNPO法人市民協働ネットワーク長岡の事務局・理事その他関係者が、市民協働をテーマに日ごろ感じたこと、気づいたことをしたためるリレーエッセイ・コラムです。
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