情報戦争の情報発信と被災者の情報発信 | 桑原眞二 | 今日どう?通信

今回のロシアがウクライナに攻め込んだ戦争は、実戦場とサイバー空間にまたがる「ハイブリッド戦争」と呼ばれています。また情報戦だけを取り上げ、「第一次情報大戦」とも言われています。

各国の広報としても利用されているSNS。
今回のハイブリッド戦争においても、Twitterアカウントが利用されているようです。日本にある両国の大使館(在日ウクライナ大使館、駐日ロシア連邦大使館)が逐一情報を日本語でツイートしており、多くの支持を得ようと両国ともに必死なのが分かります。
私は、まさにその辺が情報戦争だと感じております。

個人的な見解ですが、ひょっとしたら、「いいね」や「リツイート」の数なんかも戦果に入るのかもしれません。リアクションにも気を付けていく必要がありますね。

その他SNS等によるフェイクニュース等に関してはこんな記事もあります。
【ウクライナ侵攻でSNSにあふれる「フェイクニュース」–騙されないための対策も】https://japan.cnet.com/article/35184906/
なんと「故意に拡散した場合、最高で150万ルーブル(約140万円)の罰金または最長で禁錮3年を科す」なんていう事も書いてあります。こわいですね。いつものように何気なくみんなの為になると思ってリンクしただけのつもりが罰金や禁固刑の対象になりうるのです。ぜひリンク先を読んでみてください。

協働の時代になり、私達は例えば災害時やコロナ禍にあって広く世間に知ってもらいたい情報が良い事だと思ってツイートしたりリツイートしたり、いいねをしたりしています。
良い効果を生むものもあれば、被災者等を傷つけたりするものもあります。個人的に苦い経験もあります。

それは、2004年の7.13水害の時に、開設したばかりの水害の模様を伝える災害情報ブログのおそらく第1号に被災地の写真をアップしたのですが、コメント欄に「我が家の玄関も写っています、削除してもらえませんか」というような書き込みをいただき、慌ててお詫びのコメントを入れて削除しました。被災地の悲惨な現状を伝えようとして、被災者を傷つけてしまったのです。

これは、被災地情報の失敗第1号にもなった経験となりました。自分では良かれと思ったことが思いがけず迷惑をかけたりすることがあります。ロシア・ウクライナ戦争も同様な事が言えると思います。
自分だけで判断しにくい時、そこは「協働」で乗り越えましょう。デリケートな事に詳しい友人、例えば行政関係の人、ネット関係の仕事をしている友人に聞いてみるのもよいのではないでしょうか。それぞれ得意な分野で協働することができます。
今回の戦争でも様々な支援が行われていますので、言語や福祉・移住関係などさまざまな人達の協働になると思います。

中越地震や東日本大震災で長岡市民の多くが体験した事が、コロナ禍も含めて、私達の社会がより強くなる経験の場でもあるように思います。

話しは戻りますが情報戦争に巻き込まれかねない時でもあります。正しいと思う事、みんなの役に立ちそうなことでも発信する前に時間をおいてみたりしてもう一度考えてみてみる経験をしていこうではありませんか。

・・・実はこの私の「今日どう?通信」は市民協働ネットワーク長岡のNPOのメンバー何人かに相談して削除や書き直しをしながらなんとかまとめたものです。
それでもうまくまとめられてない?
それは私のせいです(笑)。最終的には個人の責になりますね。すみません。

最後に被災者の生の声、ツイートやコメントの有効性について述べたいと思います。
今回の戦災被災者は、やはりブログにその状況を書かれ、ツイッターにて情報を発信されていました。その状況が当事者ならではのものであり、多くの反響を呼んで多くリツイートされたことで広がりました。

これらは東日本大震災でも避難者によって発信、全国の支援者によってリツイートされ拡散され支援に繋がったのと同様なものと言えると思います。
やはり多くの世界の人々の支援を呼びました。これらは敵対する物ではなく、戦災被災者への支援という形でとらえられていたように思います。

そうです、個人が置かれた状況や被災地の状況を伝えようとしたものは人々の支援へと結びつくものとして有効な手段になっているように思います。

そこで、1つ私から協働の提案があります!
私達は、災害の被災者になってしまう前に普段から「素敵な田舎暮らしについて」や身近な生活情報などをSNSやブログで発信しようではありませんか。それらは現在の私たちを助けるだけでなく未来に災害被災者、あってはならぬことですが、戦災被災者になった時に大きな力となるものと思います。東日本大震災でも南相馬市在住の人達のブログやSNSはリアルな情報であり、適切な支援や継続した支援に結び付いていたように思います。

プロパガンダ等ではない住人によるリアルな暮らしの情報。
情報の時代になって個人のそれらの情報が力を持つようになってきました。
情報戦争ではなく情報協働、市民みんなで長岡から発信してゆきませんか。
「長岡市民情報協働」いかがでしょ。

文・NPO法人市民協働ネットワーク長岡 理事 桑原眞二

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「今日どう?通信」はNPO法人市民協働ネットワーク長岡の事務局・理事その他関係者が、市民協働をテーマに日ごろ感じたこと、気づいたことをしたためるリレーエッセイ・コラムです。
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