
―「観光しない観光」―
先日、地域の有志でトゥクトゥクを購入しました。
「トゥクトゥクを田んぼの真ん中で走らせよう」――。そんな思いから始まった取り組みです。
トゥクトゥクは、タイなどで親しまれている三輪の乗り物です。独特の形とカラフルなデザイン、屋根はありながらも開放感のある車内、そしてゆっくりと景色を楽しみながら走れることが大きな魅力です。普通の車とは違い、走っているだけで目を引き、「何だろう?」「乗ってみたい」と、人の興味を自然に引き出します。
また、スピードを楽しむ乗り物ではなく、風を感じ、周囲の景色や音、季節の変化を楽しみながら移動できることもトゥクトゥクならではの魅力です。乗っている人と沿道の人が手を振り合ったり、声を掛け合ったりするなど、自然なコミュニケーションが生まれることもあります。
そんなトゥクトゥクで、田んぼの中を走ってみる。

普段見慣れている田園風景も、トゥクトゥクから眺めると、いつもとは少し違って見えるかもしれません。風を感じながら田んぼを眺め、季節の移り変わりを感じる。農家の方から地域の農業や昔の話を聞く。地元で採れた農産物を知る。小さな神社やお堂を訪ねる。
地元の人にとっては、いつもの田んぼや何気ない道も、県外から訪れた人にとっては、普段の暮らしそのものが新鮮な風景です。「こんなところを走るの?」「田んぼの中をトゥクトゥクで走るなんて面白い!」――。そんな驚きやワクワク感も、この地域ならではの魅力になるのではないでしょうか。
有名な観光地を巡るだけではなく、田園の風景の中をゆっくり走り、地元の人と話し、その土地の暮らしを少しだけ体験する。県外から訪れた人にとっては、何気ない一日が、忘れられない地域の思い出になるかもしれません。
私たちは、こうした地域の日常そのものを楽しむ「観光しない観光」があってもよいのではないかと考えています。
トゥクトゥクを囲んで笑ったり、話したり、時には寄り道したり――。そんな少しゆるくて、ちょっと楽しい時間が、地域の新しい風景になっていくのかもしれません。
トゥクトゥクが田んぼの真ん中を走ることで、地元の人には「いつもの風景」に新しい発見が生まれ、県外から訪れる人には「初めて見る風景」と「人との出会い」が生まれる。
そんな地域の新しい楽しみ方を、住む人も訪れる人も一緒になって楽しめるものにしていきたいと思います。
文・NPO法人市民協働ネットワーク長岡 副代表理事 渡辺 仁
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「今日どう?通信」はNPO法人市民協働ネットワーク長岡の事務局・理事その他関係者が、市民協働をテーマに日ごろ感じたこと、気づいたことをしたためるリレーエッセイ・コラムです。
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