マイノリティーになる経験 | 市村二三代 | 今日どう?通信

20数年前、夫の私費留学の伴走者としてイギリスのロンドンで2年間生活しました。
30歳半ばを過ぎてからの私費留学でしたので、学力と健康そして資金面でも大きな不安を抱えての渡英でした。

ロンドンでの2年間、大学生の夫の生活を支援しつつ私自身は英語の勉強と生活費を稼ぐため、日系企業での就労を経験しました。
社会人になって以降、英語からはすっかり遠ざかっていましたので、全く言葉の通じない生活がロンドンで始まりました。当初、母語が通じない少数派の人種として日々の生活を送ることは、今までの自分の人生すべてを「無」にするようなつらい経験でした。

そんな中、心の支えとなってくれた英国人の親友や大学の友人たちの存在がとても大きかったです。遠くから来たアジア人である私たちを家に招き、英国スタイルの食事でもてなし、英国文化について沢山の話しをしてくれました。友人たちとの交流が始まってからは留学生活での活動範囲が広がるとともに、ヨーロッパの国々を訪れて異なった環境を積極的に楽しめるようになりました。

このマイノリティとしての経験が、その後日本に帰国してからの英会話スクール経営と外国人英語講師採用に繋がりました。長岡に住むアメリカ、イギリス、ルーマニア、ロシア、オーストリア、マレーシア、インド、ジンバブエ、ベネズエラ、ウガンダ、メキシコ、カメルーン出身の方々を英語講師としての仕事の場、そして日本人生徒さんとの交流の場を提供してきました。私自身も一生徒として英会話レッスンを受けていますが、授業は時として日本で暮らす彼らが直面する生活の相談の場になったりしています。相談を受けながら彼らの国と日本の文化の違いを理解し、その違いを面白いと感じたり、日本人が改めなければならないと感じたりするなど、多くの気づきを得ています。

今後、日本の労働者の10%近くが外国人雇用者になるといわれています。人生のひとときではあるけれども、異なる文化や背景を持つ方々との交流を通じ、お互いを理解し、支えあえる関係を築くことが人生にいろどりを与えてくれるように感じています。

文・NPO法人市民協働ネットワーク長岡 監事 市村 二三代

◆―――――――――― ◆

「今日どう?通信」はNPO法人市民協働ネットワーク長岡の事務局・理事その他関係者が、市民協働をテーマに日ごろ感じたこと、気づいたことをしたためるリレーエッセイ・コラムです。
感想など、お気軽にコメントなどでお寄せ下さい。