男の井戸端会議 | 髙橋秀一 | 今日どう?通信

私が「今日どう?通信」を初めて書いた日を調べてみたら、2014年3月でした。
今から9年前になるんですね。
「協働って何だろう。」聞きなじみのない言葉ではありますが、意外と身近にあるものだとこのコラムを書いた日を思い出しました。

さて、突然ではありますが、協働は何から始めたらよいでしょう?
いろいろとあると思いますが、まずは「お互いを知ること」が必要だと私は思います。

それでは、お互いを知ることに必要な要素とは何でしょうか?
私は、会話(コミュニケーション)があると感じています。
しかし、会話って簡単なようで難しいなぁと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

私の経験上ではありますが、子どもの通う学校の学習参観の日は特に会話のきっかけづくりの大変さを感じております。それというのも、私の今住んでいる地域はもともと生まれ育った地域ではなく、縁もゆかりも無いただの新参者であるからです。
学習参観日には、同じ小学校区に住んでいる人が集まります。
しかも、子どもが同級生であり、見るからに私と年代もほぼ一緒。共通点は多いはず…
だがしかし、子どもの学習参観を見学に来ているということもあり、「私は子どもの学校の様子を見に来ているんだ」という謎の使命を自らに与え、会話しないぞという雰囲気をお互い醸し出してしまっているのかもしれません。

それでも母親同士は、子どものことや家庭のことなど会話が自然と弾んでいます。

一般的に会話は女性の方が得意といわれておりますが、それは会話することでお互いの感情を協調させることが目的なので、話題もあちこちに飛んで会話も弾むと言われております。
一方男性は、会話の内容自体を重要視すると言われており、無意味な内容のおしゃべりをすることは極端に少ないと言われているそうです。

少し前置きが長くなってしまいましたが、
今回は、自然と会話が生まれる男の井戸端会議についての経験をお伝えしたいと思います。
私が住む町内は、いわゆる新興住宅地になります。
親も子も年代は比較的近い方が集まっていますが、同級生でもなく同じ地域に生まれた人ばかりでもない。赤の他人だった人がたまたま同じ地域に住居を構えただけです。

しかし、そこに住む限り一生お付き合いをすることになる人々です。

我々の町内全員が顔合わせする機会として、年に2回春と秋に町内のクリーン作戦と名した町内清掃があります。
はじめは、もくもくと公園の草刈り。会話もほぼなく、それぞれが清掃をしていきます。
それが終わると、1年間の砂や泥が蓄積された側溝の排水道を掃除します。
今年はそこで、ちょっとした問題が発生。

「側溝から泥をかき出したいのだが、その蓋が空かない!!」

そんな時、自然と会話が生まれてきました。
ある人は、「ちょっと家帰ってトンカチ持ってくる。」「誰かバール持ってない?」
などどんどんアイデアが出てきます。

その結果、無事に側溝のふたが空き、拍手喝采!無事に泥をかき出すことができました!
この経験を通して、会話が弾む男の井戸端会議に必要な事があることに気付きました。
それは、「目標(狙い)がはっきりしていること」です。

いくら他人であれ、達成したい目標や倒さなければならない敵が同じだと、自然と会話をし結果的に協働していくように思います。
平時は清掃など同じ作業をすることで、なんとなくその方の性格や気質を感じることができます。
それが、災害などの非常事態になると、「誰かを助ける」という同じ目標を持ち、平時でのつながりが生きてきます。

仕方なくやっている地域活動やPTAなどの行事は、厄介ごとに思っていませんか?
実は、その行事の目標(狙い)を知ることで、大切なことが見つかるかもしれません。

そして私は、数年かけて会話をし打ち解けてきた町内の男同士で、焚き火を囲んで飲むという男の井戸端会議を楽しんでおります。
あなたも協働のきっかけづくりにもなる、井戸端会議の場をつくってみませんか?

文・NPO法人市民協働ネットワーク長岡 事務局 髙橋秀一 

◆―――――――――― ◆
「今日どう?通信」はNPO法人市民協働ネットワーク長岡の事務局・理事その他関係者が、市民協働をテーマに日ごろ感じたこと、気づいたことをしたためるリレーエッセイ・コラムです。
感想など、お気軽にコメントなどでお寄せ下さい。